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新年明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
さて、先日グレン・エイヴォン50年(Glen Avon, 実際の発音は“エイウォン”と濁らないらしい)を抜栓したので、テイスティング・ノートを書き残したいと思う。
このグレン・エイヴォンだが、G&M社(Gordon & MacPhail)がボトリングした蒸留所名の明かされていないシングルモルトである。その酒質からグレンリヴェットだともグレンファークラスだとも言われるが、その判断はなかなか難しい。というのも、この銘柄はヴィンテージや熟成年数違いで何種類か出されているのだが、それぞれで微妙にキャラクターが違っているためだ。比較的若いものには繊細なグレンリヴェットには不似合いな荒々しい力強さを感じるが、この50年のように「もしかしてリヴェットかも?」と思わせる極めて繊細な要素もあったりする。
この正体不明のシングルモルトが、グレンリヴェット、もしくはグレンファークラスのいずれかだろうと考えられているのには、G&M社が抱えていた蒸留所名使用制限の問題も大きく関与している。特にグレンファークラス蒸留所が、インディペンデント・ボトラーに対してなかなか名前の使用許可を出さないことは有名だ。
またグレン・エイヴォンという名称の由来が、いずれの蒸留所をも示唆している可能性がある点も興味深い。19世紀の半ばにグレンエイヴォン(Glenavonと一語で綴る)という蒸留所が、実はザ・グレンリヴェット蒸留所の創業者の息子であるジョン・G・スミスによって操業されていたのだ。この蒸留所のウイスキーのハーフボトルが、ロンドンで開かれたオークションで14,750ポンドという高値で落札されたのは記憶に新しい。
一方グレンエイヴォン蒸留所は、バリンダロッホにあったという記録も残されている。グレンファークラス蒸留所の所在地はずばりバリンダロッホであり、ボトラーのキングズバリー社がグレンファークラスをバリンダロッホのブランド名で販売していることもよく知られている。もっとも、ウイスキーによっては蒸留所とあまり関係のないブランド名がつけられるケースもままあるので、蒸留所の推測には参考程度の情報と考えたほうが望ましいのだが・・・。
さて主題のテイスティングだが、この手のモルトはとても評価が難しい。現行品と同じ土俵では比べられないからである。それをやるのは、例えるならクラシックカーを現代の車と競わせるようなもので、ある意味ナンセンスだ。酒においても老齢は斟酌してやるべきで、古酒はやはりそれなりの基準で見てやらなくてはならない。
香りはフルーティで複雑。フレーバーはややウッディだが、喉越しには力強さもありコンディションはまずまずだ。50歳という年齢を考えれば、驚くほどかくしゃくとしている。
【香り】 オレンジオイル、洋梨の皮、レザー、雨ざらしの樽。加水でレモンピール。
【味】 チョコレートがけのレーズン、シナモン、樹皮、ゴム。加水で渋みが顕著に。
【フィニッシュ】 シナモンキャンディ。フルーティで心地よいが、渋味が長く残る。