エムズ・ウイスキー・ダイアリー ローズバンク蒸留所が復活!? 忍者ブログ
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a00785_6.jpgスコットランドのちょうどエジンバラとグラスゴーの中間に、ファルカークというマーケットタウンがある。モルトファンにはローズバンク蒸留所がある町としても知られるが、今年の4月24日付けのファルカーク・ヘラルドという地方紙にローズバンク・ファンには朗報となる記事が載った。記事の内容は、ファルカーク・ディスティラリー・カンパニーという会社が、ローズバンクの後を継ぐ新しい蒸留所の創設に向けて動き出しているといったもの。ローズバンクはローランドモルトの中でも随一の人気を誇るシングルモルトだ。1993年にディアジオ社によって閉鎖され、すでに15年もの年月が流れている。

その後新蒸留所に関するニュースはとんと流れてこなかったのだが、9月13日付けのサンデー・ヘラルド紙に久しぶりに関連記事が載った。それによると計画は進められてはいるのだが、大方の予想通り、新蒸留所に「ローズバンク」の名を譲る気がないことをディアジオ社が明らかにしたらしい。ローズバンク蒸留所は現在売りに出されているので、それを丸ごと買い取れば「ローズバンク」の名をどのように使おうがもちろん構わないわけだが、ファルカーク・ディスティラリー社は資金的にそれができなかったのだという。

そもそもローズバンク蒸留所が閉鎖された理由のひとつは、敷地を分断する道路が敷かれたことだと言われている。交通量が多いときには蒸留所の運営に支障をきたしたそうで、場所を移さない限りは操業再開の可能性は低そうだ。また現在、建物の一部はチェーン店のレストラン・パブとして利用されており、すでに見限られている感を一層強くする。

新蒸留所の建設予定地は、同じファルカーク市内のローリーズトン(Laurieston)という、現在の場所から直線距離で約7キロメートルほど離れた場所だという。ローリーズトンと言えば、かつて同名の蒸留所(Lauriston, 1821-1826, 転居先の地名とは少し綴りが違う)がファルカーク市内で操業していた。1826年に閉鎖されたが、同年に場所を移してキャメロン蒸留所(1826-1861)に操業が引き継がれている。そのキャメロン蒸留所が閉鎖した後に、建物と敷地はローズバンク蒸留所がすべて買収したという。ローリーズトンという名前とローズバンクとの間にはそんな因縁めいた話もあるのだが、もしかしたら偶然ではなくファルカーク・ディスティラリー社がこだわりを持って選んだ土地なのかもしれない。

ディアジオ社のスポークスマンは、「新蒸留所の設立に、私たちが何かのお役に立てればよいのですが・・・。ただ、ローズバンクの‘商標’を手放す気はありませんし、今後もその予定はありません。」とのコメント。まだまだ原酒を抱えているディアジオ社の、ブランド名だけを譲るというわけにはいかないという主張は、まあ当然と言えば当然だ。

ファルカーク・ディスティラリー社のフィオナ・スチュワート女史は、次のように言う。「2、3年前からローズバンク蒸留所が売りに出されていることは知っていましたが、私たちには買収することができなかったのです。そこで、蒸留所に捨て置かれている設備の一部をもらい受け、新しい蒸留所で利用しようと考えました。具体的に言いますと、ポット・スティルやマッシュ・タン等の設備です。」

また彼女は、「ローズバンクの名を使えないのであれば、私たちは『ファルカーク』を蒸留所の名前にしようと考えています。すなわちそのことは、あと数年の内にローズバンクという名の蒸留所が消えてしまうことを意味するのです。そうなれば、ファルカークの歴史の一部は失われることになるでしょう。」ともコメントしている。ローズバンクの名にこだわりたい気持ちはよく分かる。でも、こういうケースではあきらめるしかないかな。

ローズバンクの設備を再利用するとはいえ、キャラクターをどこまで蘇らせられるかについてはかなり微妙だと思う。ただ、ローランドの伝統的な3回蒸留を行なう蒸留所がひとつでも増えることには間違いなく意義があるし、個人的にも嬉しい。ちなみに新蒸留所オープンは、当初は2009年の4月を予定していたがどうやら2010年にずれ込みそうだとのこと。

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全く記事には関係ないのですが…。
いつも拝見させていただいております。1つご質問させていただきたいことがあり、コメントさせていただきます。
マッカランの旧ビンのオフィシャルの25年なのですが、同じ蒸留年でも、赤字で大きく「25」とラベルに書いてあるタイプと書いてないタイプがあるようなのですが、違いは何なのでしょうか?ご教示いただければ幸いです。
P.S.1972年蒸留のボトルにてその違いを見たのでご質問させていただきました。
イケ 2008/11/05(Wed)02:55:20 編集
Re: 全く記事には関係ないのですが…。
コメントをありがとうございます。

赤い「25」の印刷のないマッカランが
存在するという話はしばしば耳にしますね。
しかし、私はまだ見たことはありません。

ただ酒屋等で、木箱から出されて店頭に置かれているものが、
ラベルが日に焼けて赤い印刷だけが退色してしまっているものは
何度か見かけたことがあります。

日焼けしすぎて完全に色が抜けてしまったという可能性は
考えられますが、“そうは見えない”ものもあるという話も
聞いたことがあります。
もしかしたら、印刷されていない(もしくは印刷ミスの)
バージョンがあるのかもしれませんね。
MUNE 2008/11/06(Thu)13:58:07 編集
へぇぇ
ローズバンクを検索してやってまいりました。
閉鎖されていたのは知っていましたが、売りにも出されていたとは…。
味は変わってしまいそうですが、完全になくなってしまうよりはうれしい情報でした。
続報、楽しみにしております!
調整豆乳 2008/12/21(Sun)10:59:08 編集
Re: へぇぇ
コメントをありがとうございます。

そうですね。ローズバンクは、
なくなってしまうのが惜しい蒸留所の
ひとつですよね。

新蒸留所には、
ローズバンクの血を引くことを誇りに
運営していって欲しいものです。
MUNE 2008/12/21(Sun)12:12:54 編集
マッカラン
初めまして。
マッカラン25年なのですが、空港の免税店で何度か販売されていたことを確認しています。
欧米は行ったことがないので分かりませんが、ソウル、香港では売っておりました。
免税向けの商品とかではないんでしょうかね。
リオン 2009/01/09(Fri)10:11:38 編集
Re: マッカラン
やはりそうでしたか。
貴重なご報告を、
どうもありがとうございました!
MUNE 2009/01/09(Fri)10:35:27 編集
【プロフィール】
HN:
MUNE
HP:
性別:
男性
自己紹介:
 1990年頃、スコッチウイスキーの魅力に開眼、次第に傾斜を深めていく。1998年、ウェブサイト「M's Bar」を開設、書き溜めていたシングルモルトのテイスティングノートを公開。2005年、ウイスキー専門誌「THE Whisky World」の発足メンバーに。現在は、試飲のできるリカーショップ「M's Tasting Room」の運営に携わり、ウイスキー関連のイベントでは講師やアドバイザーなども務める。著書に『うまいウイスキーの科学』(ソフトバンククリエイティブ)など。
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