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supernova.jpgウルトラ・ピーテッドなアードベッグ、『スーパーノヴァ』が先月の20日にコミッティー会員向けにリリースされた。ブルイックラディオクトモア(フェノール値は公称131ppm)に触発されたのかどうかはわからないが、スーパーノヴァのフェノール値は100ppm以上だという。まあ計り方次第では数値はどうとでも出せるそうなので、その辺りを競うのは不毛な気もするのだが、へヴィピーテッドモルトを造る老舗としてのプライドからなのだろうか。なお、残念ながらコミッティ向けのスーパーノヴァは、すでに完売している。しかし5月末には、一般向けにリリースされる予定だという。

そのスーパーノヴァのテイスティング・ノートが、モルト・アドヴォケートのジョン・ハンセル氏のブログに掲載されたので紹介しようと思う。以下はその訳文だ。


他の若いアードベッグと比較すると、より風味豊かで、より密度が高く、そしてよりスモーキーだ。力強さに満ちてはいるが繊細なキャラクターをも備えており、かすかな潮っぽさと海藻、より顕著な土っぽさ、タール、すす、エスプレッソ、タバコ、草、そしてチョコレートファッジといったアロマが感じられる。またそれらの風味は、舌でも感じ取ることができる。口に含むと、‘通常よりやや元気な’カスクストレングス(例えばルネッサンスとか)といった感じで風味が立ち始める。だが、もしあなたが圧倒的なピートやタール、そして煙の風味にノックアウトされたいと考えているなら、最初はちょっと拍子抜けするかもしれない。しかし、徐々にピートの香りが支配的になっていき、まるで溶岩のように最高潮に達し、スーパーノヴァが普通のアードベッグでないことが分かる。フィニッシュの余韻は太く温かく、いつまでも長く続く。また、奥の方に隠れてしまっているために感じとりにくい大麦の熟成感やバニラの甘さが、アードベッグというウイスキーの好ましい特徴、すなわちタールや熱、そしてスモークといった要素とうまくバランスを保っている。

スーパーノヴァのテイスティングは面白くて仕方がなく、思わず目を見はるような体験だ。比較的若いウイスキーであるにもかかわらず、熟成がうまくいっている。ただし、シェリーやオークの風味がちょっと強すぎるウイスキーと同じように、強烈過ぎるピートの香りは、ライトピーテッドのアードベッグに見られるような、好ましい繊細な複雑さを覆い隠してしまいがちだ。その点が、私がこのウイスキーに90点台のスコアを与えなかった唯一の理由である。だが、スモーキーなウイスキーに目のないマニアには、ぜひ一度はトライして欲しいウイスキーだ。

モルト・アドヴォケート誌の評価: 89点


2004年にリリースされたライトピーテッドのアードベッグ、キルダルトンは個人的には高く評価した。煙という鎧がはずされて表れた、「繊細な複雑さ」に美味しさを見出せたからだ。だからハンセル氏の言いたいことはよく分かる。しかし現行品のアードベッグには、「繊細な複雑さ」を求めるのはちょっと酷かもしれない。40度に加水されているとは言え、ブラスダがそれをよく表している。スーパーノヴァは、価格から考えても若いアードベッグであることは間違いない。スモーキー過ぎるから減点したという話は、このウイスキーに限って言えばちょっと的外れな気もする。

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【プロフィール】
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自己紹介:
 1990年頃、スコッチウイスキーの魅力に開眼、次第に傾斜を深めていく。1998年、ウェブサイト「M's Bar」を開設、書き溜めていたシングルモルトのテイスティングノートを公開。2005年、ウイスキー専門誌「THE Whisky World」の発足メンバーに。現在は、試飲のできるリカーショップ「M's Tasting Room」の運営に携わり、ウイスキー関連のイベントでは講師やアドバイザーなども務める。著書に『うまいウイスキーの科学』(ソフトバンククリエイティブ)など。
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