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cairdeas.jpgアイラ・フェスティバル向けのスペシャルボトリングについてのアナウンスが、ラフロイグ蒸留所から届いた。この限定ボトルには、『カーディス (CAIRDEAS)』という名が与えられたとのこと。“カーディス”とはゲール語で“友情”という意味で、もちろんこの蒸留所のオフィシャル会員制クラブ『フレンズ・オブ・ラフロイグ (Friends of Laphroaig)』になぞらえて命名されたものだ。ウェブサイトでは、すでに販売を始めている。

さてこのカーディスだが、価格は40ポンド(約8,000円)だという。記念ボトルにしては思いのほか安いが、その秘密はクォーター・カスクで寝かせたモルトをメインにヴァッティングしている点にあるようだ。蒸留所の説明によれば、通常のものより長く熟成させたクォーター・カスク原酒に、1989年ヴィンテージのバレル2樽の原酒が加えられているらしい。

アウトターン(総販売本数)は明かされていないが、このフォーラムサイトには12,000本だとの情報も寄せられている。もしこの情報どおりだと仮定するならば、割安感はかなり薄らぐ。1989年ヴィンテージ原酒は17年物だとのことなので、1樽あたりの分量は120リットル程度だろう。とすると、ボトル1本あたりに含まれる1989年ヴィンテージ原酒は、たった20ミリリットル程度ということになる。含有率はおよそ3%だ。

cairdeas2.jpgカーディス誕生の経緯については、マスターブレンダーのロバート・ヒックス氏の手記がオフィシャルサイトに載っている。以下はその要約だ。

「私は2004年にクォーター・カスクの製法を完成させました。もちろん、とてもよくできたウイスキーだと感じてはいましたが、その完成度にはいささかながらも不満があったのです。その1か月後、その問題はまったく解決されていなかったのですが、17年物のテイスティング中に2樽の原酒が残りの他の17年ものとは違ったキャラクターをもっていて、しかもそれがクォーター・カスクに欠けている風味を含んでいることに偶然気がついたのです。

そこで私は、クォーター・カスクの風味を完成させるためにその2樽の原酒を使わせてもらえないかと、マネージャーのジョン・キャンベル氏に掛け合いました。17年物の樽はとても高価だったため、彼は渋々でしたが最終的には了承してくれました。実際にヴァッティングする際には、正直言うと不安はありました。しかし、その結果は大成功だったのです。」

うーん、なかなかいいエピソードだ。でももし“3%”だとしたら、ちょっとなあ・・・。

なおフレンズ・オブ・ラフロイグだが、入会資格はボトルの購入者であること以外は特に問われていない。どういうことかと言うと、製品の裏ラベルにあるバー・コードの数字を入力する必要があるのだ。しかし会費は無料なので、ラフロイグ・ファンならぜひ入会しておくことをお勧めする。もちろん私も会員だ。

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hp0002.jpg昨年の秋に予告された通り、近々ハイランド・パークの40年物が発売されるらしい。ウイスキーというジャンルにおいて40年もの間樽で寝かせることは、限界に挑むということにほぼ等しい。過去にリリースされたこの蒸留所の長熟物は、押し並べてできがいいので今回も楽しみではあるのだが、40年という長さにはやはり一抹の不安もある。“熟成過多”という負のベクトルに対し、どれだけ耐えられたのか興味のあるところだ。さて気になる価格だが、899ポンド(約180,000円)だとのこと。いやはや・・・。

ハイランド・パークの海外マーケット管理を担当するジェーソン・クレイグ氏は、今回のリリースについて次のようにコメントしている。「ハイランド・パークは、長い年月にわたりいい熟成の仕方をするウイスキーです。私たちは、ウイスキーの愛好家たちとこれらの素晴らしい長期熟成のウイスキーを分かち合いたいと考えています。長く寝かせた樽に恵まれているということは、長期熟成のウイスキーを入手困難な限定バージョンとしてではなく、コンスタントに提供できるということでもあります。私たちは、コレクターズアイテム色やその希少性などを強調することなく、最上級のウイスキーの位置づけをしていきたいのです。」

highland_park_40_year_old.jpg「ハイランド・パーク40年の熟成は、リフィルカスクのなかでほぼ完成されています。リフィルカスクとは、再利用された樽という意味です。もしリフィルカスクを使わないでファーストフィルの樽で寝かせていたら、樽からもたらされる甘み成分は、きっと過分なものになっていたでしょうね。」

「ハイランド・パーク40年の長期熟成の本質は、達成されたその完璧なバランスです。またハイランド・パークのすべての製品に共通するように着色はされておらず、天然そのままの色です。すなわちリフィルカスクを使用したおかげで、銅のような青みを帯びているのです。アルコール度数は、このクラスのものとしては比較的高い48.3%で、その風味を最大限に湛えています。」

“コレクターズアイテム色や希少性などを強調することなく”とは言うものの、それを価格以外で示す方法があるのだろうか? もう少し具体的な説明が欲しいところではある。言葉だけではなく、ぜひ行動で示して欲しいものだ。

この40年物のテイスティングノートだが、製造部門担当のマックス・マクファーレン氏のものが公表されているので、要約して転載させていただくことにする。

深い。琥珀と銅の色調。

アロマ

スパイシー。リッチで色の濃い果物、ナツメグ、ビターチョコレート。

フレーバー

甘いトフィ、ダークチョコレート、天日乾燥のオレンジ、
そしてピートとの美しいバランス。

フィニッシュ

リッチで長く、上品。スモーキーで驚くほど甘い。

head_ttl_top.jpg先月の半ば頃、ウイスキーを紹介するブログを書いてみませんかというオファーを、楽天市場からいただいた。説明を伺うとなかなか面白そうなので、その依頼をお受けすることにした。

楽天市場のサイトの中に、『楽天市場ラウンジ』というコーナーがある。今年の1月にそのコーナーが、“お買い物ブログ”としてリニューアルされたとのこと。この楽天市場ラウンジの趣旨は、各方面の専門家たちがその知識を活かし、楽天の中で扱われている商品を紹介するブログを書くと言ったものだ。私への依頼は、すなわちそこでの執筆だという。なお彼らブロガーたちは、”ショッピングソムリエ”とも呼ばれている (^^;)。

執筆にあたってはいくつかルールや制限が設けられてあり、その中には「ひとつの記事中で紹介できる商品は4点まで。」とか「楽天以外の外部サイトへのリンクは禁止。」といった厳密に守らなくてはいけないものから、「商品が特定の店舗のものに偏らないよう留意する。」なんていう比較的緩いものまで様々だ。

商品紹介は、まずスコッチのシングルモルトをアルファベット順に取り上げていくことにした。今週、トップバッターとなる『アバフェルディ』の記事をアップしたので、ご興味がある向きにはご覧いただけたら嬉しく思う。

ardbeg_angel.jpg今月の11日に、スコットランドで最高齢だった女性が亡くなったという。享年は110歳。名前はマージョリー・マクガウンさんといい、アイラ島のボウモアにある老人ホームにお住まいだったとか。マクガウンさんは、生前モルトウイスキーを嗜むことを日課にしていたそうな。

彼女のお気に入りの銘柄は、なんとアードベッグだったとか。存命だったころ、インタビューで彼女は次のように語ったことがあるという。「私にとってウイスキーは、まさに命の水なのです。アイラ島のモルトウイスキーはとても有名ですが、中でも私はアードベッグをことのほか贔屓にしています。私たちの家から続く道路の、最果ての地で作られているウイスキーです。あ、でも飲んだらもちろん運転はしませんよ。」

ちなみに彼女は102歳のとき、その年の英国の最年長ドライバーとして認定されたこともあるという。交通量の多い土地ではちょっと考えられない話だが、アイラ島の道路事情ならではの微笑ましいエピソードと言えるだろう。

ポリフェノールの一種のエラグ酸が大量に含まれるウイスキーと、健康とのかかわりは科学的に証明されている。彼女にとって、アードベッグは本当に長寿の秘薬だったのかもしれない。

highland_park.jpg32年物のハイランド・パーク186本が、空輸中に忽然と消えたという。あちらこちらのニュースメディアでも取り上げられていたので、ご存知の方も多いだろう。

これらのハイランド・パークは、スピリッツ類を中心に取り扱っているアメリカの酒商、セイブレックス・インターナショナル社がスコットランドから取り寄せようとしたものだとか。6本入りのカートン31箱に詰められた186本のボトルは、グラスゴー空港では確かにその存在を確認されていたという。そしてデルタ航空の飛行機によって運ばれたはずだったのだが、到着地のロサンジェルスではなくなっていたとのこと。

まあ単純に考えれば、飛行機に載せる直前にグラスゴー空港から誰かが持ち去ったとしか考えられないのだが、海外のニュースでは「Phantom cask (幽霊の樽)」なんて言葉が躍っていて思わず失笑した。

被害額は約240,000ドル(≒2,500万円)だそうな。ご愁傷さま・・・。

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【プロフィール】
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MUNE
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性別:
男性
自己紹介:
 1990年頃、スコッチウイスキーの魅力に開眼、次第に傾斜を深めていく。1998年、ウェブサイト「M's Bar」を開設、書き溜めていたシングルモルトのテイスティングノートを公開。2005年、ウイスキー専門誌「THE Whisky World」の発足メンバーに。現在は、試飲のできるリカーショップ「M's Tasting Room」の運営に携わり、ウイスキー関連のイベントでは講師やアドバイザーなども務める。著書に『うまいウイスキーの科学』(ソフトバンククリエイティブ)など。
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