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今週の土曜日、3月26日(土)はアースアワー(Earth Hour)の日だ。アースアワーとは世界中の人々が、同じ日・同じ時刻に電気を消すなどのアクションを通じて、地球温暖化を止めたい!という思いを示す、国際的なイベントだ。それぞれの国の時刻で20:30から21:30までの1時間、電気製品や照明等のスイッチをオフにする。時差の関係から、南太平洋のチャタム諸島からスタートし、最後のサモアまで東から順に消灯が地球をぐるりと回ってくる。
このアースアワーは2007年3月、オーストラリアのシドニーで、 WWF(世界自然保護基金, World Wide Fund for Nature)の温暖化防止キャンペーンの一環として始まった。わが国でも昨年から取り組みが始まり、東京タワーや広島城で実施されている。昨年は、128の国や地域、4,616の都市や町からのべ13億人が参加したという。本家のオフィシャルサイトからでも参加表明は可能だが、WWFジャパンのサイトの方がわかりやすいだろう。個人での参加はもちろん可能だが、法人や自治体など団体でのエントリーも受け付けている。本家のサイトは英語表記だが、今回の東北地方太平洋沖地震の報道を受け「日本の皆さん、勇気を持って頑張って下さい」という日本語表記が、トップページに載せられている。
ウイスキーの蒸留所では、ディーンストンがアースアワーへの参加を表明している。ディーンストンはもともと、エコロジー志向の強い蒸留所として有名だ。電力を自給自足する唯一のスコットランドの蒸留所であるばかりでなく、化学肥料や農薬を使わないで栽培された有機栽培大麦のみを原料とした、いわゆるオーガニックウイスキーを造ったりしている。近くを流れるティス川の水は、仕込み水としてばかりでなく発電タービンの回転にも利用しているのだ。発電量は蒸留所が使うものしては充分すぎるほどの量で、余った電気は公共の送電線網に流して電力会社に買い取ってもらってるという。
WWFスコットランドの総責任者、リチャード・ディクソン博士はいう。「地球の温暖化対策は私たちの社会が直面している最も重要な課題の一つであり、アースアワーへの参加は温暖化解消へ取り組んでいることへの証しとなります。我が祖国スコットランドは、我らが愛し誇りとするスコッチウイスキーの支えも得て、アースアワーへのエントリーを表明します。」
今回の地震により東北や関東地方で深刻な電力不足が予想されることから、寒がりな私もなるべく暖房を控えるようにしている。しかし今は未曾有の国難であり、今こそ無駄は徹底的に省くべきときだ。節電のさらなる啓蒙のために、今週末のアースアワーの実施は実にいいタイミングだろう。
M's Bar トップページの右端にあるリンクコーナーを、久しぶりにアップデートした。「Official Distillery Sites」、「Independent Bottlers」、「Whisky Retailers」、「Whisky Blogroll」、「Whisky Videos」の5つの項目のリンク切れを修正し、新たなリンク先も追加してある。なおこの箇所の更新は、2007年9月のデザインリニューアル以来だ。
中でももっとも力を入れたのが、「Whisky Videos」。蒸留所単位では、これまで6箇所だったのが46箇所に増え、動画の数も11から200へと(リンク先のリストに載っている動画をすべて含め)、約20倍に膨れ上がった。またYouTubeだけでなく、他の動画ページへもリンクを張ってあるので、バラエティに富んだリンク集になったと自負している。なお、新しく加わった箇所の末尾には「NEW」を付け、ひと目でわかるようにした。ただし「Whisky Videos」でリンクを張った動画は、ほとんどが新規のものなので「NEW」は省いてある。
蒸留所オフィシャルサイトとボトラーズサイトは、拾えたものはほぼもれなくリンクした。だが、酒販店とブログ、そして動画はそれなりにセレクトさせていただいている。選別の基準だが、酒販店は日ごろお世話になっている海外サイト、国内では楽天市場のみにリンクを張った。ブログに関しては、頻繁に覗く海外サイトと、あとはUsukebaのトップページに。動画は画質のきれいなもの、被写体がレアなもの、カメラぶれが少ないものを選んだ。もし興味のあるジャンルがあれば、覗いていただけたら嬉しい。
(追記: なおこのたびのアップデート作業中に、M's Bar や M's Whisky Diary にリンクしてくださっているサイトがあることが新たにわかりました。この場を借りて厚くお礼申し上げます。M's Bar のリンク集のページでこちらからもリンクを張り、相互リンクとさせていただきました。)
※このエントリに埋め込んだラフロイグの動画は、パソコンの環境によっては表示されないようです。Vimeoのサイトでご覧ください。(3/12)
スコットランドの東岸に、緩やかなS字を描くように切れ込む込むテイ湾。その北岸に、スコットランド第4の都市ダンディがある。この町の歴史上で最も大きな火災だといわれているのが、1906年の7月19日に起こった、ウイスキーブレンド会社のジェームズ・ワトソン社保税倉庫の大火災だ。
倉庫があったのは、キャンドルレーン通りがシーゲート通りに突き当たるT字路の東側。出火時刻は18時20分頃と推定されており、まる2日燃え続けたという。炎は近隣の建物にまで延焼し、一帯は見るも無残な姿に変わりはてた。
貯蔵されていた約100万ガロン(455万リットル)のウイスキーとラムは全焼し、燃えさかるウイスキーはまるで川のようにダンディ通りを流れていったという。建物ばかりでなく大量のウイスキーまでもが失われてしまったため、この火事は「大人たちが泣いた日」などと比喩されることもある。なお出火原因は、突き止められていない。
この火災に関する記録は、これまではジェームズ・ワトソン社と深く関わる資料は見つかっていなかったらしい。しかしこの度、ワトソン社の従業員が書いたと思われる絵葉書を、歴史家のノーマン・ワトソン氏が発見したという。カナダのスカーバラに住む人物に宛てたこの絵葉書には、建物内部の惨状がリアルに描写されている。以下はその全文だ。
「この絵葉書に写っているのは、キャンドルレーン通りの一番端にある建物です。火事のとき、私たちはちょうどその場所にいました。壁や柱が次々に崩れ落ちていき・・・、それはもう本当にすさまじい光景でした。手は火傷とすすで真っ黒け、脚はむくんでパンパンです。樽に寝かせていた酒は、どんどん流れ出していきました。私たちは外に出て、キャンドルレーン通り沿いにあるC・R・バクスター(イングランドのランカシャー州に本拠を置くビールメーカー)の店の屋根に、消火ホースを抱えてのぼりました。そして夜の10時から翌朝の5時まで、ずっと放水を続けたのです。そんな騒ぎの中で、会社の仲間たちは散り散りなってしまいました。その週末は、私たちは結局休みなしになってしまいましたよ。」
消火作業が手間取った原因だが、ジェームズ・ワトソン社の終業時刻が17時で、出火したころにはほとんどの従業員が帰宅したあとだったためでもあるという。同社の関係者の目撃談が、ほとんど残されていなかったのも同じ理由によるものだろう。
なおジェームズ・ワトソン社は、今でも存続している。1815年に設立され、1923年にDCLに買収されるまでは4つの蒸留所、バルメナック(1824-)、グレン・オード(1838-)、パークモア(1894-1988)、そしてプルトニー(1826)のオーナーだった。また19世紀末から20世紀の初頭にかけては、クラガンモア蒸留所の原酒をすべて買い取っていたという。現在はディアジオ社の系列会社だ。
台湾のウイスキーと言えばキング・カー蒸留所のカヴァランが有名だが、マティスというブランドもある。マティス社はキング・カー蒸留所とは違い、スコッチウイスキーのボトリングのみを行っている会社だ。そのマティス社が、このたび派手なプロモーションを仕掛けてきた。同社がボトリングした800ポンドのキャパドニック1972を、スコットランド第一大臣アレックス・サモンド氏によってチャリティオークションに出品してもらうというもの。
先日行われたサモンド氏へのボトル進呈式には、ウイスキーライターのジム・マーレー氏が招かれ、彼によってキャパドニック1972が手渡された。他の誰でもなく、ジム・マーレー氏が招かれたのには、実は訳がある。彼の著書であるウィスキー・バイブルの2007年度版に、マティス12年が取り上げられ89点という高得点が与えられたからだ。
オークションは今月の11日に、スコットランドのファイフにあるセント・アンドリューズにて開催される。売上金は、がん患者や障害者、ホームレスらを支援する団体に全額寄付される予定だ。
マティス社は、2000年に ヤン・テンクェイ氏によって創業されたインディペンデントボトラーズだ。2008年にオープンしたキング・カー蒸留所よりも歴史は古く、台湾のウイスキー業界では先駆者といえるだろう。同社の製品は、シングルモルト、ブレンデッドモルト、ブレンデッドスタンダード、ブレンデッドプレミアムの4種類に大別される。どの製品にも蒸留所名は明記されておらず、「マティス」というブランド名で統一されている。すなわち、今回のチャリティオークションに出されるキャパドニックは、例外ということになる。
ちなみにこのマティス社だが、ブランドイメージを作り上げることに何よりも力を入れていることでも有名だ。CMには有名歌手や映画俳優、そして売れっ子の映像ディレクターらを起用し、アーティストのプロモーションビデオ顔負けの作品を作っている。だが肝心のウイスキーが、そのイメージに伴っていないとの厳しい指摘もあるようだ。
たとえば、こんな例もある。2008年に出されたウイスキーマガジン73号のテイスティングコーナーで、「マティス・オールドブレンデッドウイスキー」が取り上げられた。だがこのウイスキー、“オールド”とはいうものの実は3年物。テイスターのデイヴ・ブルーム氏がつけた点数は6.0点、「3年熟成で“オールド”って、どういうこと?」と、きついコメントを残している。サントリーオールドは、熟成年数を謳わないで正解だったかもしれない。
ともあれ、このキャパドニック1972にいくらの値がつくのか、興味のあるところだ。
以前「南極で100年前のウイスキーを発掘」という記事を書いたが、その続報が届いたので紹介しようと思う。探検家アーネスト・シャクルトンが南極に残したウイスキーは、南極歴史遺産トラスト(Antarctic Heritage Trust)によって100年ぶりに発掘されたが、それが昨年2月6日のこと。その後、ウイスキーは保管されていた木箱ごと、ニュージーランド南島のクライストチャーチにあるカンタベリー博物館に送られた。「英国南極探検1907 (British Antarctic Expedition 1907)」と書かれた木箱はそこで慎重に解凍され、中のボトルが取り出されたという。
ウイスキーの銘柄は、ブレンデッドスコッチのマッキンレーズ。現在はインドUBグループ系列のホワイト&マッカイ社が、このブランドのライセンスホルダーだ。UBグループの総帥であるビジェイ・マルヤ氏は、これらの貴重なボトルが南極歴史遺産トラストの倉庫に放置されていることをいやがり、今月の17日に3本のボトルを自家用ジェットに積んでスコットランドに持ち帰った。これらのウイスキーは、今後6週間かけてインヴァーゴードンにある同社の研究室で分析され、マスターブレンダーのリチャード・パターソン氏によってアロマやフレーバーのチェックが行われる予定だという。なおサンプルの抽出方法だが、抜栓はしないで、コルクに注射針を突き刺して抜き出す。これは液体が大気に触れることによって変質するのを防ぐためで、ボトルから古い酒を抽出する際にはよく使われる方法だ。
パターソン氏は、「このウイスキーは氷の中で保存されていたため、フレーバーはほとんど劣化していない可能性が高いですね。また、風味は今日のブレンデッドウイスキーよりも重く、よりピーティであることも予想されます。分析器にかければ原料の大麦の産地と品質を特定できるばかりでなく、麦芽やピート、あるいは含まれている毒素や金属成分をも調べることができます。このサンプルが示す特性は、例えるなら“指紋”のようなものです。それらを手がかりに、現代ではすでに失われてしまった19世紀後期のウイスキー製造工程を推察することもできます。」とコメントしている。
なお分析が終われば、残りのウイスキーとボトルはニュージーランドに送り返されることになっている。というのも、歴史的な南極探検家の遺物は、研究や調査等の目的で一旦掘り起こしても、最終的には発見した場所に戻しておかなくてはならないと、国際法で定められているためだ。ただし例外のケースもあるそうで、その遺物の破損や劣化もしくは盗難を防ぐという見地から、元の場所に戻すよりも常温で保管しておく方が望ましいと判断された場合には、その法律の適用を免れるという。南極歴史遺産トラストは現在その判断をしている最中だと、専務取締役のナイジェル・ワトソン氏は説明している。
ちなみにこのマッキンレーズだが、1896~97年頃にボトリングされたものらしい。オーストラリアのウイスキー専門家は、もし市場にだされたら、9万ドル(約740万円)の値はつくだろうとコメントしている。