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グレンモーレンジィのプライベート・エディション第5弾、「コンパンタ」が今月末にリリースされる。日本でも22日から出荷を始める予定だという。

グレンモーレンジィのプライベート・エディションは、蒸留・製造総責任者を務めるビル・ラムズデン博士の「秘密のキャビネット(温めてきた構想や貴重な原酒など、インスピレーションの源)」から選び抜かれた、特徴が際立つ希少な原酒から生み出される、革新的で希少な限定ウイスキーのコレクションのこと。過去のリリースでは全てが高い評価を得ており、貴重なコレクターズアイテムとなっている。

「コンパンタ」は、ブルゴーニュのグランクリュ「クロ・ドゥ・タール」のワイン樽で後熟させた原酒と、コート・デュ・ローヌの甘口酒精強化ワインの樽で後熟させた原酒のアッサンブラージュから生まれたウイスキー。コンパンタ(companta)とはゲール語で「友情」を意味し、ラムズデン博士と同じく崇高な目的を持つフランスの仲間たちの友情を祝うためにつけられた名だという。余談だが、たしかラフロイグの「カーディス」も、ゲール語で「友情」の意味だったはず・・。

クロ・ドゥ・タール(Clos de Tart)はブルゴーニュ屈指のグランクリュとして知られ、若いうちはタンニンが強いが長く寝かせると真価を発揮するタイプ。長熟のクロ・ドゥ・タールは、カシスやバラの花などの複雑なブーケを放つ。ブルゴーニュ地方の南に位置するコート・デュ・ローヌ(Côtes-du-Rhône)は、ミュスカ種をメインに使ったヴァン・ドゥ・ナチュレル(甘口酒精強化ワイン, Vin Doux Naturel)の産地として有名で、上品で洗練されたデザートワインをつくる。

Glenmorangie
Private Edition
Age Alc. Special Notes
Sonnalta PX 12yo 46% ・Extra-matured in Spanish ex- Pedro Ximenez casks
・IWSC 2010 Gold Medal
Finealta NAS 46% ・A painstaking recreation of a recipe dating back to 1903
・IWSC 2012 Gold Medal
Artein 15yo 46% ・Extra-matured in Super Tuscan (Sassicaia) casks
・IWSC 2013 Gold Medal
Ealanta 19yo 46% ・Matured in virgin American white oak casks
・IWSC 2013 Gold Medal
・World Whisky Of The Year in Jim Murray's Whisky Bible 2014
Companta NAS 46% ・Extra-matured in Grand Cru casks from Clos de Tart and those of a lusciously sweet fortified wine from Côtes du Rhône

ラムズデン博士は、今回の限定商品に対する想いを以下のように語っている。(輸入元のプレスリリースより引用)

「ウイスキーを追加熟成させるための最高の樽を求めて、20年以上もフランスの有名なワイナリーを巡る旅を重ねてきた中で、たくさんの魅力的なワイン、希少なワインを飲む機会がありました。ワイン愛好家としては、やはり一番忘れられない旅はブルゴーニュでした。彼らがワインに注ぎ込む細心の注意と情熱にはいつも驚嘆させられました。ブルゴーニュの中でも小さいワイナリーは、収穫量や経費や時間などを気にする様子もなく、ただひたすら最高のワインを造るという作業を疲れも知らずに続けていました。これはグレンモーレンジィと同じ精神です。完璧を求めるためには何も彼らを遮るものはありません。この共通の精神が私にインスピレーションを与え、フランスワインへの愛、そして長い旅の間に出会った友人たちへの究極のトリビュートを造るきっかけになりました。クロ・ドゥ・タールの樽は、グレンモーレンジィ特有のエレガントでフローラルな個性に、さらなるボディと深いベリーの風味を与えてくれました。この力強いスパイシーな個性を補完するために、コート・デュ・ローヌの甘口の酒精強化ワインで後熟させた原酒を選びました。少し時間はかかりましたが、綿密な調整を経て、力強さと優しさの完璧なバランスのアッサンブラージュにたどりつくことができました。」

試飲する機会をいただいたので、テイスティングノートを記しておこう。

【アロマ】
熟したラズベリー、カシス、タンニン、マッシュルーム、ココアなど、複雑で豊潤な香りが次々と現れる。加水するとオレンジシャーベット。
【フレーバー】
口に含むとまずタンニンのアタック。次第にドライフルーツのアプリコット、黒胡椒、シナモンと変わっていく。若干サルファリーだが、深みが増している印象。加水でミルクココアとオレンジキャンディ。フィニッシュは熟した果実とタンニンの心地いい余韻が長く続く。

なお輸入元によるテイスティングノートは以下のとおり。

【アロマ】
赤いベリーや、森の湿った下草などの「秋」の豊かな香り。薪の煙のニュアンスと、ナッツのような心地よい樽香が重なる。
【フレーバー】
チェリーや赤いベリー、煮込んだフルーツのスパイシーな味わいに、砂糖漬けのプラム、ブラッドオレンジ、ローズヒップのシロップ、ミルクチョコレート、ブラウンシュガーの風味が現れ、口全体を包みこむ長いフィニッシュへとつながっていく。

ドライなアロマと濃厚な果実感が印象的なウイスキー。熟成にせよ後熟にせよ、ワイン樽の使用はリスクが大きいというのが私の持論だが、このコンパンタは比較的バランスよく仕上がっている。さすがラムズデン博士の渾身の作品だ。

ハイランド・パークの“ヴァルハラ・コレクション”第3弾が、今月の7日にリリースされた(日本の代理店、レミーコアントロージャパンからは、まだアナウンスがない)。北欧神話のインスピレーションから生まれたこのシリーズは、2012年に雷神「ソー (Thor)」、2013年に火神「ロキ (Loki)」と発売されたが、今年出る第3弾は愛と豊穣を司る女神「フレイヤ (Freya)」だという。

今回のボトルは、ハイランド・パークとしては珍しく明るい緑色に着色されていて、とても目を引く。これは高緯度地方でしばしば観測されるオーロラが、フレイヤのまとう羽に反射した光によって現れるという言い伝えがあるためだという(オーロラの色は、大気の密度や発光する原子の種類によって赤や桃色などを呈することもあるが、最も一般的なのは緑色)。

Valhalla Collection Age Alc. Price
THOR 16yo 52.1% £120.00
LOKI 15yo 48.7% £130.00
FREYA 15yo 51.2% £140.00

その名が示すように、「ソー」は力強く、「ロキ」はとてもスモーキーなキャラクターを備えていた。「フレイヤ」の風味ははたしてどんなものなのか、とても興味深い。女神フレイヤは、「美の象徴 (The Fair One)」としても知られる存在。「深淵で艶めかしいフレイヤの魅力がよく表れた、初々しい金色の魅惑的なウイスキー」だと、同蒸留所の関係者は説明する。すなわちソーやロキとは明らかに違った、むしろ対極的な風味だといいたいのだろう。オフィシャルサイトには、テイスティングノートが載っているので転載しておこう。

アロマ:
アーモンドとマダガスカル産のバニラ。ホワイトチョコレートが現れ、
続いて砂糖づけのサクランボ、マンゴーとメロンの力強いウェーブ。
そして、クリームソーダの雲に包まれる。
フレーバー:
オレンジピールとバタースコッチキャンディ、 そしてバラの花びらが
オレンジの花と生姜とともに甘さをもたらす。 ピートの煙を軽やかにまとった、
弾ける発泡性の砂糖菓子とレモングラス、 そしてトロピカルフルーツ。
フィニッシュ:
複雑かつ優美。長く後を引くスパイスと軽やかな燻煙は、果樹園の
やわらかな果実、トーストしたココナッツ、そして軽い焦げと絡み合う。
円熟した深みと気分の高揚。

また気になるのは熟成樽の種類だが、公開されている動画の中で同蒸留所のグローバルブランドアドヴォケートを務めるダリル・ホールデン氏が、「バーボン樽の原酒を、100%使用している。」と語っている(2:00あたり)。バーボン樽熟成のハイランド・パークは数が少なく、なかなかお目にかかれない。機会があれば、ぜひテイスティングしてみたい。

現在アイラ島で新しい蒸留所の建築計画が進んでいる。スコッチ文化研究所が発行する『ウイスキー通信』のコラムでもこの話題にはふれたが、続報が届いたので改めて記事にしておきたい。

建設予定地は、ボウモアの町から南西に3キロメートルほど離れた湾岸に位置するガートブレック(Gartbreck)農場。蒸留所名もガートブレックになる予定だという。規模は現在アイラ最小のキルホーマンよりも、さらに小さなマイクロ蒸留所になるとのこと。このあたりには以前立ち寄ったことがあるが、手つかずの自然が残されている素晴らしいロケーションだ。

計画を進めているのは、ジャン・ドネイ氏。彼は仏ブルターニュに本拠を置くケルティック・ウィスキー社のオーナーでもあり、同社は本格派フレンチシングルモルトとの呼び声も高いグラン・アー・モーを生産するウイスキーメーカーとして知られる。2014年5月に着工、2015年秋に生産を開始する予定で、ビジターセンターも設置、年間生産量は60,000リットルを見込んでいるという。すべての仕込みをピーテッド麦芽で行い、原料大麦の20%はアイラ島産のものを、それ以外はスコットランド本島から輸送したものを使う予定だとドネイ氏は話す。なお熟成には主にバーボン樽を使用し、一部の原酒はシェリー樽にも詰める予定だという。

興味深いのは、フロアモルティングを行い、そしてポットスティルの加熱方式にスチーム式ではなく直火焚きを採用するなど、伝統的なつくり方にこだわっている点だ。他のアイラ島の蒸留所で直火焚き方式を採用しているところはなく、スコットランド全体でも数えるほどしかない。伝統的な直火焚きを採用する蒸留所が少なくなったのは、スチーム式に比べコストがかかる上に温度調節が難しく、スティルの寿命が短いというデメリットがあるためだ。

ガートブレックが創業すれば、アイラでは9つ目の稼働蒸留所になる。ウイスキーが飲めるのは早くとも2018年とまだ先の話だが、どんなシングルモルトになるのか今から楽しみだ。

先月末、『ウイスキー通信』15号のテイスティングのためスコッチ文化研究所にお邪魔してきたが、そこで興味深いグレン・グラントに出会った。なんとピーティでスモーキーなのだ。グレン・グラント蒸留所ではノンピート麦芽しか使用しないし、このスモーキーなグレン・グラントももちろん例外ではない。では、なぜスモーキーなのか?

マスターディスティラーのデニス・マルコム氏の説明によると、まだシーグラム社系列だったころにアイラ産のモルトの空き樽に“間違えて”詰めてしまったのだという。この話を聞いたとき、ブレンデッドモルトの「セレンディピティ」を思い出した。「セレンディピティ」はアードベッグ蒸留所が、アードベッグのボトリングをする際に誤ってグレン・マレイを混入してしまったというブレンデッドモルト。当初は廃棄する予定だったが、これが意外にも美味しかったため、“セレンディピティ(偶然な幸運、もしくはそれを引き寄せる能力といった意味)”と名づけリリースした。

さてこのグレン・グラントのテイスティングだが、トップノートではドライな煙がツンと鼻を刺激し、そのあとに芳醇な果実香がやってくる。そして口に含むと、桃のキャンディと懐かしいパフューミーなニュアンス。マルコム氏はアイラのどこの蒸留所かまでは明かしてくれなかったそうだが、明らかに80年代に蒸留されたボウモアだとわかる。あくまでも仮定だが、1980年ヴィンテージのボウモアが12年間寝かされた樽だとすると、年月のつじつまは合う。パフューミーなニュアンスは個人的には苦手だが、お好きな方にはグレン・グラント版の「セレンディピティ」といえるかもしれない。

なおこのグラント、蒸留所でしか購入できない限定商品だ(現在オフィシャルサイトでは、樽違いの19年物が紹介されている。樽ナンバーが近いため、恐らく同様な仕上がりだと思われる)。容量はフルではなく、500mlのボトルに詰められている。以下に詳細なスペックを記しておく。

Distilled 12.Feb.1992
Bottled 14.Aug.2012
Age 20yo
Alc. 55.7%
Bottles Released 360
Cask Number 17165

なおアイラの樽で寝かせたグレン・グラントをネットで検索してみると、ボトラーのイアン・マクロードがドイツ向けに詰めたものがあるようだ。

シーバス・ブラザース社ペルノ・リカール社系列)が、バランタイン17年の「シグネチャー・ディスティラリー」シリーズを発表したのが昨年のこと。バランタインは40種類以上の原酒がブレンドされた、スコッチを代表するブレンデッドウイスキー。その中の4種類のキーモルト原酒、グレンバーギスキャパミルトンダフ、そしてグレントハースを、それぞれの蒸留所ごとに特徴を際立たせたのが「シグネチャー・ディスティラリー」シリーズだ。昨年リリースされたのはグレンバーギ・エディション(免税店向け)とスキャパ・エディションの2種類。そして第3弾として、ミルトンダフ・エディションがこのたび発売された。なお残るグレントハース・エディションは来年リリースの予定だという。もちろんいずれも数量限定の商品だ。

ミルトンダフといえばバランタイン、バランタインといえばミルトンダフといってもいいくらい、原酒の中でもミルトンダフはちょっと特別な存在だ。「シグネチャー・ディスティラリー」シリーズの4本の中では、真打といえるだろう。「ミルトンダフというモルトは、バランタイン17年の土台になり、ブレンドにおいてその実力を発揮します。ミルトンダフのキャラクターは、他の原酒の目立ち過ぎる特徴を馴らすのです。シナモンのニュアンスがブレンドに温もりを与え、花の香りが他のモルトのフルーティな甘みのバランスをとります。」と、メーカーは説明している。ブレンドを行ったのは、もちろんマスターブレンダーのサンディ・ヒスロップ氏

なお『ザ・スコッチ -バランタイン17年物語-』(グレアム・ノウン著・1996年)の中で、先代のマスターブレンダー(当時は現役)であるロバート・ヒックス氏は、バランタイン17年におけるミルトンダフの役どころについて次のように述べている。「木の芽のような、かすかに蜂蜜がかった豊かな香りを与えてくれる。(中略)夏の花の香りが匂い立つように強く、全体のトーンを完璧に整えてくれる・・」。すなわちミルトンダフは、個性豊かなモルトたちのまとめ役ということなのだろう。

昨年のスキャパ・エディションは、もともと韓国市場向けに出されたものだったが、バランタインの代理店サントリーが日本にも引いたので飲まれたかたも多いと思う。まずまずの仕上がりで、「Whisky World」誌主催の Whisky World Award 2012 でも、ブレンデッド/ブレンデッドモルト部門で本命と目されていたデュワー・ラトレー・ブレンデッドモルトを押し退け、みごと最優秀賞を獲った。ミルトンダフ・エディションの仕上がりには、自ずと期待が高まる。

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【プロフィール】
HN:
MUNE
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男性
自己紹介:
 1998年、ウェブサイト『M's Bar』を開設。2005年、ウイスキー専門誌『THE Whisky World』の発足メンバーとして参加、現在同誌にてテイスティングコメントや記事を連載中。また昨今はウイスキー関連のイベントでウイスキーアドバイザーを務めるかたわら、楽天市場ラウンジのウイスキー・ショッピングソムリエ・ブログの執筆にも勤しむ。著書に、サイエンス・アイ新書『うまいウイスキーの科学』がある。
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