エムズ・ウイスキー・ダイアリー
Whisky topics covered by M's Bar
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去る7月15日、東京・板橋にリカーショップ「M's Tasting Room」をオープンした。購入前に試飲ができることでおなじみの、お酒のネットショップ「saketry (サケトライ)」と、ウイスキーアドバイザーとして不肖私とのコラボレーション企画の酒屋だ。

飲んだことのないウイスキー、たとえばボトラーズもののシングルモルトを購入する際、もし好みの味でなかったら・・という不安はユーザーには当然の心理だといえる。その不安を払拭するのが「購入前の試飲」だ。また蒸留所の評判やハウススタイルなどで、ウイスキーの味には先入観を持ってしまいがちだが、少量の試飲はマイナーな蒸留所の「埋もれた逸品」を探す手助けにもなる。

M's Tasting Roomで取り扱う酒は、私の専門分野であるウイスキーがメインだ。世界的に見てウイスキーは、ここ数年空前のブームだといえる。スコッチは昨年、一昨年と、輸出量、輸出額ともに対前年比でマイナスとなってしまったが、先進国に限っていえば需要は相変わらず堅調だ。特にシングルモルトの伸びが、全体の数字を押し上げており、それを裏付けるようにスコットランドに新しい蒸溜所が次々と建設されている。ウイスキー全体で見た場合、まだまだ勢いは止まっていない。

なお日本国内におけるウイスキー市場の動向だが、現在は微増傾向にある。1983年をピークに、長いこと右肩下がりだったウイスキーの消費量は、統計的には2008年には底を打ったと見ることもできる。そのきっかけになったのは、サントリーが旗振り役を務めた「ハイボール」ブームだ。このハイボールがブレイクした結果、ウイスキーファンのすそ野は確かに広がったが、その後の展開は足踏み状態であるようにも思える。

やや停滞気味の我が国のウイスキーブーム、ウイスキー文化の振興に、M's Tasting Roomがわずかでも寄与できたら嬉しい。

LIQUOR SHOP M's Tasting Room
東京都板橋区板橋1-8-4-1F
Phone / 03-5944-1033
Open / 月~金 14:00-19:00
Close / 土・日・祝

オーガニック原料にこだわった、シカゴのクラフトウイスキー「コーヴァル」。このコーヴァルのバーチャルセミナーが、9月28日(月)夜に開催された。

バーチャルセミナーとは動画配信サービス USTREAM を利用し、インターネットを利用できる環境であれば自宅にいながらセミナーに参加できる新しいサービス。チャットを使えば、リアルなセミナーのように質問も可能であり、ブロードバンドの恩恵を享受した画期的なセミナー形式だといえるだろう。

今回は、米シカゴのコーヴァル蒸留所と東京のスタジオを生中継でむすび、社長のソナト・バーネッカーさんにコーヴァル蒸留所の製品の魅力などを語っていただいた。通訳は、同蒸留所にお勤めの小嶋冬子さん。東京のスタジオでは、ラジオのパーソナリティや声優としてご活躍の渡辺美潮さんがMCとして、そして私がコメンテーターとしてスタンバイした。

第1回目ということもあり、出演者やスタッフ全員の緊張が張りつめた中での番組進行だったが、大きなアクシデントもなく、おかげさまで無事に放送を終えることができた。諸々至らない点もあったかとは思うが、セミナーにご参加くださった視聴者の方々には、心からお礼を申し述べたい。また、スコッチモルト販売のスタッフ各位、コーヴァル蒸留所の皆さん、渡辺美潮さんにも深謝申し上げる次第だ。

従来のウイスキー用のテイスティンググラスには、香りと味の双方を十分に楽しめるものが少なく、若干の物足りなさを感じていた。その不満を解消すべく、このたびオリジナルデザインのテイスティンググラス「コスモス」を開発した。製作を請け負ってくださった木村硝子店には、厚くお礼申し上げる次第だ。すでにFacebookでも告知し、先日のTokyoインターナショナル・バーショー2014でお披露目したので、ご存知の方も多いとは思うが改めて紹介したい。

一般的にテイスティンググラスの形は、飲みやすさが考慮されているとノージングの機能はダウンし、反対にノージング機能を高めると飲みにくくなってしまう。ノージング機能は高いが、飲みにくいグラスの代表的な例はグラッパグラスだろう。グラスのウエストが急角度で絞られ、アロマが外に逃げにくい構造になっているが、こういう形のグラスは大きく傾けなくては(顔を上に向けなくては)酒を口に含むことができず、流し込む量とスピードのコントロールが難しい。またノージング特化型のグラスは、概して飲み口の口径が小さく、その点でも飲みやすいとはいえない。

「コスモス」のコンセプトは、“高いノージング機能をそなえながらも、飲みやすさを犠牲にしないこと”だ。グラスの底部を大きく膨らませることで、アロマの保持力高めつつ、首と胴のつなぎ目のエッジを適度に滑らかにすることによって、ノージング機能と飲みやすさの両立を実現した。豊かに香りを味わい、スムースな飲み口を愉しむ。そんなテイスティングタイムをお届けできたらと思う。

10月1日より、お酒のショッピングサイト「saketry (酒トライ)」で販売を開始するので、ご興味があればぜひ!(1脚 \2,970 税抜 ※蓋は別売り)

今月の31日のアードベッグ・デーに、新商品の「オーリヴェルデ」が数量限定で発売される。オーリヴェルデとは、ポルトガル語で「Gold and Green」の意味。黄金色に輝くウイスキーの色(auri=金)と、アードベッグのアイコン的なグリーンのボトル(verdes=緑)に由来する。ブラジル国旗もその配色からオーリヴェルデと呼ばれ、今回のリリースは同国が主催する今年のFIFAワールドカップを祝う意味もあるという。またブラジル・ナショナルチームも、オーリヴェルデの愛称で呼ばれることもある(日本では親しみやすい「カナリア」のほうが有名だが)。

アードベッグ・デー」についても簡単に説明しておこう。アイラ島では毎年5月末から6月にかけての1週間(今年は最終日が5月31日)、「ジ・アイラ・フェスティバル・オブ・ミュージック&モルト」というイベントが行われる。文字通り、ウィスキーと音楽の祭典で、世界中からアイラモルトファンが訪れ賑わう。期間中は日替わりで各蒸留所の「オープン・デー」が開催され、様々な趣向を凝らしたイベントが催される。「アードベッグ・デー」はアードベッグ蒸溜所のオープン・デーを伸展させたもので、フェスティバルに来ている人だけでなく世界中のファンにアードベッグで乾杯してほしいという目的で2012年に制定された。

蒸留製造の最高責任者ビル・ラムズデン博士は、今回の限定商品について以下のように語っている。(MHDのプレスリリースより引用)

「オーリヴェルデを造るにあたり、私には表現したい味わいの明確な構想がありました。そしてそれを実現するための特別なレシピを完成させたのです。結果は私の期待をはるかに超え、アードベッグらしさあふれる味わいでありながら、まったく新しいユニークな表情を持つアードベッグを造りあげることに成功しました。オーリヴェルデを口に含んだ瞬間、フィルターに残ったコーヒー粉や甘草、メープルハム、麦芽やビスケット、白胡椒など、甘さと塩気の素晴らしいバランスを持った複雑な味わいが口内に広がります。アードベッグでは、常に新しい試みを行いますが、今年のアードベッグ・デーに発売されるオーリヴェルデも、アードベッグ・ファンだけでなく、世界中の人々の心を捉えることは間違いないでしょう。」

MHDによれば、「樽のふたの部分に特殊な熱処理加工をほどこし、スモーキーなアードベッグに、モカコーヒーやクリーミーなバニラの風味が加わり、夢のような味わいが実現した。」とのことで、それ以上の説明はない。「ふた」は原文では「cask lids」となっていて、これはもちろんダボ栓ではなく鏡板のこと。「特殊な熱処理加工」について直接MHDに問い合わせたところ、ラムズデン博士はにやりと笑っただけで教えてくれなかったそうで、ヒントとして「(鏡板の)表面積を増やしている」とだけ語ってくれたという。また今回はチョコレートモルト(深焙りした麦芽のことで、グレンモーレンジィ・シグネットでは主原料として使われた)を使わずに、同じような味わいを出したかったのだそうだ。表面積を増やすためには何らかの方法で凹凸をつけたのだと想像できるが、もしかしたら「アリゲーター・チャー」なのではあるまいか。アリゲーター・チャーとは、バーボンバレルなどに施されるもっとも強く焦がす焼き方のことで、表面に浮き上がるワニのウロコを連想させるような四角いパターン模様からそう呼ばれている。ワニのウロコのようなテクスチャーになることは、「表面積が増える」と見なすこともできる。なお同手法でつくられた「アードベッグ・アリゲーター」は2011年に数量限定でリリースされている。

発売前に試飲する機会をいただいたので、テイスティングノートを記しておこう。

【アロマ】
軽やかな潮風、海岸の焚き火跡、雨に濡れた土草、青リンゴ。加水するとシャープになり、レモンとハーブ。
【フレーバー】
バニラファッジ、カフェオレ、白煙、キッパーへリング。粉っぽいテクスチャー。加水するとアイスココア。フィニッシュは心地いい潮風と甘いカフェオレ。

なおラムズデン博士のテイスティングノートは以下のとおり。

【アロマ】
タール、ハーブのアロマとともに、かすかにモカが香る。
【フレーバー】
コーヒーの風味に燻製した根菜、メープルベーコンやスモークサーモンの野性的な風味。スモーキーなバニラの余韻が長く続く。

50本限定で金色のボトルのオーリヴェルデもつくられ、関係者やブロガーたちに配られた。もちろん中身はまったく同じもの。裏ラベルには「NOT FOR RESALE」と表記されているにも関わらず、さっそくオークションに出品している不心得者がいるようで呆れるばかりだ。

わが国屈指のウイスキーインポーターであり、ボトラーでもあるスコッチモルト販売が、「ザ・テイスター」シリーズの第6弾を発売する。「ザ・テイスター」は、モルトウイスキー愛好家に選定を依頼し、ボトリングする同社のオリジナルシリーズ。第5弾が出たのが2011年1月なので、約3年ぶりのリリースとなる。

今回の「ザ・テイスター」第6弾では、僭越ながら私がテイスター役を務めさせていただいた。選んだシングルモルトは、インペリアル1995の18年。ドイツのボトラー、ザ・ウイスキーエージェンシーが提供してくれたこのインペリアルは、馥郁とした熟成香を放ち、甘酸っぱい果実のような味わいで、テイスティングしたサンプルの中ではひときわ素晴らしかった。

Release Distillery Distilled Age Alc. Out-turn Taster
1st Sep 2008 Laphroaig 1998 9yo 58.4% 294 山岡秀雄
Ardbeg 2001 6yo 58.7% 301
2nd Aug 2009 Fettercairn 1975 33yo 58.5% 120 Carsten Ehrlich
3rd Nov 2009 Bunnahabhain 1976 32yo 55.7% 120 山岡秀雄
4th Aug 2010 Port Ellen 1982 27yo 57.0% 156 中村信之
5th Jan 2011 Glentauchers 1975 34yo 43.7% 158 Carsten Ehrlich
6th Apr 2014 Imperial 1995 18yo 56.2% 242 吉村宗之
【アロマ】
トップノートには新鮮なシトラスと若草。ミルフィーユのように重なったアロマを一枚づつはがしていくと、エニシダの花、蜂蜜、白桃、パイナップル、バニラなどが次々と現れる。加水すると甘酸っぱいオレンジの花。
【フレーバー】
完熟のアプリコットやオランジェット、ナッツ、ヌガーなどの芳醇な味わい。ボディが厚く、高いアルコール度数を感じさせないまろやかな口当たり。フィニッシュには黒胡椒やシナモン、チコリ、タンニンが現れ、心地いい余韻が長く続く。

インペリアルはスペイ川中流域のカロンにあった蒸留所だが、現在は存在しない。1897年、ダルユーイン蒸留所(1852-)の第2工場として、スペイ川を挟んだ対岸に建造された。折しもその年は、ヴィクトリア女王在位60年のダイヤモンドジュビリーに当たっており、インペリアルという名前はそれに因んでつけられたという。スコッチウイスキーの蒸留所名は、地名や自然環境などに由来するケースがほとんどなのだが、インペリアルは数少ない例外の一つ。1989年にアライド・ディスティラーズ社がオーナーになり、それ以降バランタインなど同社のブレンデッドウイスキーの原酒として使用されてきたが、1998年に生産休止。2005年、ペルノ・リカール社によって買収されるが、同年に閉鎖が決定した。2012年の秋には、残念ながら建物も取り壊されてしまった。

なおインペリアルのあった場所には、ペルノ・リカール社の新しい蒸留所が建設される予定だ。すでに建設許可も下り、近々着工されるという。蒸留所名はまだ発表されていないが、「インペリアル」の名が引き継がれるのかどうか、気になるところだ。

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【プロフィール】
HN:
MUNE
HP:
性別:
男性
自己紹介:
 1998年、ウェブサイト『M's Bar』を開設。2005年、ウイスキー専門誌『THE Whisky World』の発足メンバーとして参加、現在同誌にてテイスティングコメントや記事を連載中。また昨今はウイスキー関連のイベントでウイスキーアドバイザーを務めるかたわら、楽天市場ラウンジのウイスキー・ショッピングソムリエ・ブログの執筆にも勤しむ。著書に、サイエンス・アイ新書『うまいウイスキーの科学』がある。
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