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coffey2_2.jpg今月の22日に、ニッカから興味深いウイスキーがリリースされる。その名も「シングル・カフェ・モルト12年」。次号のスコッチ通信(スコッチ文化研究所の定期刊行物)のテイスティングで取り上げられることになり、テイスターとして先日ひと足お先にテイスティングさせていただいた。

この「カフェ」という言葉だが、由来はカフェ式スティルの名に因む。coffeyと綴られ、実際の発音はむしろコフィに近い。1831年に、アイルランドの収税官だったイオニアス・コフィ(Aeneas Coffey)が発明した連続式蒸留機の呼称だ。ポット・スティル(単式蒸留機)との違いは、より純度の高いスピリッツを蒸留できる点である。

なお、コフィの作ったスティルはパテント(特許)を取り広く使用されたので、別名パテント・スティル(Patent Still)とも呼ばれる。その後改良が加えられて種々のパテント・スチルが使われるようになったが、現在は多様なタイプのグレーン・ウイスキーをつくり分けられる多塔式が主流だ。二塔式のコフィ・スティルを使用しているのは、日本では唯一ニッカだけである。

カフェ式スティルで蒸留された、ニッカのグレーン・ウイスキーのクォリティの高さには定評がある。胸を張って世界に誇れるジャパニーズ・ウイスキーのひとつだと、私自身も確信している。さてこのカフェ・モルト、まだ発売前なのでテイスティングの詳細な評価は差し控えるが、原料とスティルの相性、並びに完成度の高さにおいてはカフェ・グレーンに軍配を上げたい。

関連記事を、The Scotch Blogで見つけた(9日付)。その中で宇土美佐子さん(「The Scottish Whisky Distilleries」の著者)がこのブログの筆者に宛てたメールが紹介されている。「キャメロンブリッジ蒸留所で、1880年代から1929年まで造られていたものと同じようなものだと思う。」といった、彼女らしい見解が述べられていて思わずほくそえんでしまった。

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pc6b.jpgちょっと古い記事だが、10月12日付けのTHE WHISKY RUMOUR MILLにポート・シャーロット6の販売手法についての記事が、皮肉たっぷりに書かれてある。すなわち、デザイン違いの6種類の缶ケース(もちろん中身はどれも同じ)に収めて売られていることに対する皮肉だ。

まあ、その手のやり方は別に目新しくもないし槍玉に上がるほどのことでもないと思うのだが、ブルイックラディ蒸留所のマネージングディレクターのマーク・レイニア氏がオフィシャルブログの中で、言い訳がましい開き直りともとれる記事を書いたことがTHE WHISKY RUMOUR MILLの筆者の癇に障ったようだ。

レイニア氏のブログ記事はこんな感じだ(THE WHISKY RUMOUR MILLから抜粋要約)。「一部の人には受け入れられないと思う。PCのリリースのことでは我々はずいぶんと悩まされていた。そして、いざリリースすると『ウイスキーコレクターからお金を巻き上げる気か?』と責められた。誰も強制などしていない。6本すべてを買う必要などないのだ。また、もしあなたのイメージに合わないのなら、1本も買う必要などない。」(なおこのブログ記事だが、検索したが見つからない。コメント炎上等の理由で削除されたのかね?)

余談だがこのマーク・レイニア氏、SWAとの確執があちこちで取り上げられたせいでちょっとした有名人だ。スコッチウイスキーの新法に盛り込まれる予定になっている「ブレンデッド・モルト」という呼称について、その有用性に関する疑問を強い調子でSWAに対して投げかけたところ、SWAのスポークスマンから、「レイニアさんは、スコッチウイスキーの保護と振興よりも、むしろ自己宣伝について深いご関心がおありのようだ。」と強烈に皮肉られたのだ。

彼を始め、スコッチウイスキーの新法に異を唱える関係者は少なくない。3年前にSWAがこの提案を業界関係者に伝えたところ、ウイスキーライターのデイヴ・ブルーム氏もさっそく異論を唱えていたように記憶している。公に個人を名指しで非難したSWAに対する批判と激励のメッセージが、グレンモーレンジ蒸留所に11年間勤めているアンソニー・バーネット氏からも届いたと、レイニア氏はブログで記している。

スコッチ業界で「ヴァッティング」や「ヴァッテド」という表現が使われるようになったのは、100年ほど前のことらしい。私も最初に「ブレンデッド・モルト」という呼び名を耳にしたときは違和感を覚えたが、現状「ヴァッテド・モルト」という呼称が一般消費者に浸透しているとは言いきれず、シンプルかつ平易な単語でゼロから出直すという方針も悪くないのではないかと、最近は思う。また英語圏に住まない人々が、「ブレンデッド」と「ブレンデッド・モルト」とを混同し取り違える可能性があるという指摘にも、すんなりと賛同はできない。一般消費者をちょっと侮り過ぎてはいないだろうか?

glen_highland_green.jpg「ハイランド・ゴールド・ファイネスト・ウイスキー」、「ローランズ・ブレンデッド・ウイスキー」、「アイラ・ウイスキー・クリーム」なんて銘柄のウイスキーが市場に出されている。これらの酒の原産地は、順にスリナム共和国&オランダ、スペイン、イタリアだ(苦笑)。いずれのネーミングもスコッチと見紛うばかりのできばえである。

かねてからこの手のまがい物の跋扈を苦々しく見ていたSWA(スコッチウイスキー協会)は法改正の必要性を説いてきたが、このたび行政が腰を上げる運びとなった。現行の法律では、「スコットランドの蒸留所で糖化と発酵、そして蒸留を行なったもの以外の酒を、“スコッチウイスキー”と呼んではいかん!」となっているのだが、例えば「ハイランド」のような“地域”や「ブレンデッド」といった“タイプ”に関する法定義はない。

新法では、5つの“地域”と5つの“タイプ”に関する規定が盛り込まれる予定だ。すなわち、地域は「ハイランド」、「ローランド」、「スペイサイド」、「キャンベルタウン」、「アイラ」。タイプは「シングル・モルト」、「シングル・グレーン」、「ブレンデッド」、「ブレンデッド・モルト」、「ブレンデッド・グレーン」となる。「ブレンデッド・モルト」は、2004年の“カードゥ騒動”を発端に生まれた新語だが、それを提案したSWAの指針がそのまま採用されたということだ。またこれまでは許されていた、ウイスキーの入った樽の輸出も禁止される。新法に関する協議は今年の年末にかけて行なわれ、来春に施行の予定とのこと。

このウイスキー新法が国際的に承認され適用されるようになれば、シャンパンやパルマハム、ロックフォールチーズがヨーロッパの貿易法に守られているのと同様に、例えば「アイラ・モルト」といった名称が保護されることになる。

スコットランド相のデス・ブラウン氏は、「ウイスキーはスコットランドが輸出する最重要品目。年間20億ポンドもの経済効果をもたらすのですから、一部の海外市場に流されるイミテーションから、スコッチウイスキー産業を保護する法律が必要なのは当然です。SWAも新法の施行を歓迎していますし、政府としてもスコッチ業界の声には注意を払い、かつ熱心に耳を傾けていきます。」とコメントしている。

whisky_fes.jpgイベントネタをもう一発。11月25日(日)に、THE Whisky Worldスコッチ文化研究所共催で『第1回 WHISKY Festival』が開かれる。

当日は各メーカー、インポーターの試飲・試食ブースをはじめ、 レアなボトルが飲める有料試飲コーナーや、ウィスキーに関するあらゆるグッズ、 書籍(古本も!)が並ぶフリマ的ブースも大挙出展。また、『The Scottish Whisky Distilleries』の著者ウドミサコ氏のトークセミナーも開催される。なお、THE Whisky Worldの4名のテイスターたちのブースも出展されることになっている。

万障お繰り合わせの上、お運びいただけたらと思う。



 ●日 時:
    11月25日(日) 13:00~18:00 (受付開始12:40)

 ●会 場:
    銀座アミュゼ
      東京都中央区銀座6-9-5 ギンザ・コマツビル8F

      TEL: 03-3571-8555

 ●入場券:
    前売 2,500円 (当日 3,000円) ※税込・送料込



なお詳細は、こちらのページにて。

IMG0016.jpg11月17日(土)、神田神保町のバー・ポルカドッツ・アンド・ムーンビームスにてラガヴーリンをテーマにした試飲会を開催することが決まった。また皆様とご一緒させていただくことを、とても楽しみにしている。

90年代から2000年初頭にかけて、たくさんの優れたラガヴーリンが、 時にはその名を伏せつつもボトリングされてきた。しかしここ数年、他のアイラモルトに比べてリリースが少なく、歯がゆい思いをされているファンも少なくないはずだ。

故マイケル・ジャクソン氏に「アイラの巨人」とも称えられたラガヴーリン。今回はその力強いスモーキーなキャラクターの飲み比べを、カスクストレングスのボトラーズものを中心にご堪能いただきたいと思う。

 

『ラガヴーリン・テイスティング会』

 日時: 11月17日(土)
         第1部: 16:30~18:30
         第2部: 19:00~21:00
 場所: Bar PolkaDots & MOONBEAMS
        (バー・ポルカドッツ・アンド・ムーンビームス)
          千代田区神田神保町2-2-12 サンエスビルB1F
          (東京メトロ神保町駅 A4出口徒歩1分)
          TEL: 03-3263-3211
          http://www.ff.iij4u.or.jp/~yukiom/
 会費: 6,000円
 定員: 第1部:14名  第2部:14名 (要予約)

bottles.jpg


「Vintage Islay」 5y 58.4% (Signatory Vintage)
■現在でも5~8年という若いラガヴーリンを安価にて提供しているシグナトリー。 現行品のクリア瓶ではなく、2000年頃にボトリングされたグリーンボトル。

「AS WE GET IT」 8y 57% (Ian Macleod)
■地味ながら、その安定した樽の供給で定評のイアンマックロード。「手に入れたまま!」という興味深いネーミング。

「Double Matured」 1989-2005 43% (Official Bottle)
■今回、唯一のオフィシャル品。「The Whisky World」にて2005年ベストウィスキー、シングルモルト部門第一位に輝いた秀作。

「Horae Solaris」 1988-1998 50% (Moon Import)
■言わずと知れたイタリアのカリスマボトラー「ムーン」によるボトリング。個性的なデザインでコレクターズアイテムとして人気の高い逸品。

「Laggan Mill」 1993-2003 57.5% (The Vintage Malt Whisky "Cooper's Choice")
■シェリー樽で5年間後熟させた興味深い一本。ドライだがバランスがよく、そしてスモーキー。

「Vanilla Peat」 1994-2007 56.8% (M&H "Taste Still")
■最近、もっとも勢いを感じさせるベルギーのボトラー、「M&H」によるボトリング。

 ※各20mlずつ

 

参加のお申し込みは、この日記のコメント欄にご参加希望の旨をお書き込みいただくか、もしくはこちらからどうぞ。

 

追記(11/8):
ボトルの画像をアップ。

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【プロフィール】
HN:
MUNE
HP:
性別:
男性
自己紹介:
 1990年頃、スコッチウイスキーの魅力に開眼、次第に傾斜を深めていく。1998年、ウェブサイト「M's Bar」を開設、書き溜めていたシングルモルトのテイスティングノートを公開。2005年、ウイスキー専門誌「THE Whisky World」の発足メンバーに。現在は、試飲のできるリカーショップ「M's Tasting Room」の運営に携わり、ウイスキー関連のイベントでは講師やアドバイザーなども務める。著書に『うまいウイスキーの科学』(ソフトバンククリエイティブ)など。
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