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M's Bar トップページの右端にあるリンクコーナーを、久しぶりにアップデートした。「Official Distillery Sites」、「Independent Bottlers」、「Whisky Retailers」、「Whisky Blogroll」、「Whisky Videos」の5つの項目のリンク切れを修正し、新たなリンク先も追加してある。なおこの箇所の更新は、2007年9月のデザインリニューアル以来だ。

中でももっとも力を入れたのが、「Whisky Videos」。蒸留所単位では、これまで6箇所だったのが46箇所に増え、動画の数も11から200へと(リンク先のリストに載っている動画をすべて含め)、約20倍に膨れ上がった。またYouTubeだけでなく、他の動画ページへもリンクを張ってあるので、バラエティに富んだリンク集になったと自負している。なお、新しく加わった箇所の末尾には「NEW」を付け、ひと目でわかるようにした。ただし「Whisky Videos」でリンクを張った動画は、ほとんどが新規のものなので「NEW」は省いてある。

蒸留所オフィシャルサイトとボトラーズサイトは、拾えたものはほぼもれなくリンクした。だが、酒販店とブログ、そして動画はそれなりにセレクトさせていただいている。選別の基準だが、酒販店は日ごろお世話になっている海外サイト、国内では楽天市場のみにリンクを張った。ブログに関しては、頻繁に覗く海外サイトと、あとはUsukebaのトップページに。動画は画質のきれいなもの、被写体がレアなもの、カメラぶれが少ないものを選んだ。もし興味のあるジャンルがあれば、覗いていただけたら嬉しい。

(追記: なおこのたびのアップデート作業中に、M's Bar や M's Whisky Diary にリンクしてくださっているサイトがあることが新たにわかりました。この場を借りて厚くお礼申し上げます。M's Bar のリンク集のページでこちらからもリンクを張り、相互リンクとさせていただきました。)

※このエントリに埋め込んだラフロイグの動画は、パソコンの環境によっては表示されないようです。Vimeoのサイトでご覧ください。(3/12)

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umai_whisky01.jpgこのたび、拙著『うまいウイスキーの科学』(サイエンス・アイ新書)を上梓した。今週にも書店に並ぶ予定(16日頃)なので、この場でPRさせていただこうと思う。

基本的にビギナー向けの内容だが、「ウイスキーの科学」というテーマにそぐうよう、第1章で製造工程についてはそれなりに詳しく説明してある。ウイスキーコニサー資格認定試験を受けた方、もしくは勉強されている方には馴染みのある内容だと思うが、初心者向けに不必要だと思う部分は削ぎ落とし、足りない箇所は加筆した。

umai_whisky02.jpg第2章では、スコットランドのモルトウイスキー蒸留所を紹介している。なお、このブログのエントリーのようなマニアックな内容を期待されるとちょっと困るのだが、創業を計画中の蒸留所(事実上頓挫や破綻したものも含む)の紹介にもページを割いてみた。なお閉鎖された蒸留所の紹介は、紙幅の関係で割愛させていただいた。もちろん『失われた蒸留所』(出版未定)には含めるつもりでいる。

第3章の「ウイスキーのおいしい飲み方」はあくまでも個人の主観なので、異論もあろうかとは思うが参考にしていただければ幸いだ。


第1章 ウイスキーの科学
      『ウイスキーの起源』
      『ウイスキーとは?』
      『モルトウイスキーの原料』
      『モルトウイスキーの製造工程』
第2章 スコットランドの蒸留所
      『ウイスキーと風土の関係』
         ≪ハイランド≫
         ≪ローランド≫
         ≪キャンベルタウン≫
         ≪アイラ≫
         ≪スペイサイド≫
         ≪アイランズ≫
第3章 ウイスキーのおいしい飲み方
      『ウイスキーの飲み方』
         ●ストレート
         ●ハイボール
         ●水割り
         ●オンザロック
      『ウイスキーを使ったカクテル』


もし見かけたら、お手に取りご覧いただけたら嬉しい。

image690.jpg樽の影響が強く出すぎ、渋みの強いモルトはしばしばある。食べ物やシガーとのマリアージュで、その渋みを楽しむのもいいがそれも程度問題だ。先日、ひょんなことでミラクルフルーツが入手できた。渋いモルトに有効かどうか、試してみたのでレポートしようと思う。

ミラクルフルーツというのは、その実自体は甘くないが次に食べた物を甘く感じさせる作用をもっている果実で、ミラクルベリーとも呼ばれる。この不思議な作用は、果実に含まれる「ミラクリン」という物質が、酸味を感じた際に舌の甘味受容体を刺激するため酸味が甘く感じられるというものだ。ミラクリンは複数の糖鎖が結合した糖タンパク質で、24,600の分子量をもつ化合物。

ミラクルフルーツが発見されたのは、1725年のこと。フランスの探検家シェヴァリエ・デ・マルシェ(Chevalier des Marchais)が、西アフリカの人々が食事の前にこの果物を採って噛んでいることを知り、その効能に気付いたという。その酸味を軽減する作用だが、30~120分程度で消えるため扱いはわりと楽だ。また熱に弱いため、熱いものを食べたり飲んだりすると、効果の持続時間はさらに短くなる。

ウイスキーのサンプルには、13年物のジャパニーズモルトを用意した。シェリー樽熟成のシングルカスクで、度数は63%というかなりマッチョなウイスキーだ。アロマはとてもドライ。ストレートで口に含むとかなりスパイシーに感じられ、まるで舌から揮発するような感触もある。

さて、実験開始だ。まずミラクルフルーツを口に含み、噛んで果肉と種が口全体にいきわたるように舌でころがす。それを1~2分続け種を吐き出し、ウイスキーを口に含む。本来は酸味の軽減に効果のあるミラクルフルーツなのだが、渋みに対しても明らかに効果が認められた。完全になくなったわけではないのだが、まるで渋みの要素がフィルターで濾し取られたかのように感じる。ただしその分、味の奥行きが浅くなり、複雑さも減少するようだ。また収斂性が軽くなったせいだろうか、アルコール度数も下がったような錯覚を覚える。しかし飲み込むときは喉が本来の度数を感じるため、もう少しでむせそうになった。余韻は口中と喉のギャップのせいで、口の中だけ軽く麻酔をかけられたような不思議な感覚が残る。

ついでに、風味のバランスがとれた別のシングルモルトを飲んでみる。劇的な変化はないが、甘みがアップする。ただし加糖したかのような甘さであり、ややしつこく感じられた。アルコール度数はやはり下がったように感じられ、フィニッシュは前のジャパニーズモルトと同じような、何とも不思議な余韻があとを引く。

結果としては、予想以上の効果はあった。ご興味のある向きは、飲みにくいと感じるウイスキーに1回試してみてはいかがだろうか。なお、今回の実験は興味本位で行ったものだが、ウイスキーの楽しみ方としては邪道だと強く思う。

scotch_grain.jpg日本の靴メーカー、スコッチグレインが「モルトドレッシング」という靴の磨き方を提唱している。モルトとはまさにモルトウイスキーのことで、ウィスキーで伸ばした靴クリームで磨きあげる方法。昨年の夏頃からあちこちの百貨店等で実演を行っており、一目見たいものだとずっと思っていたのだが、なかなか足を運べずにいた。そんな折、今月の17日にタイミングよく池袋西武で行われるのを見ることができたので、レポートしたいと思う。

スコッチグレインは、東京墨田区に本社をおくヒロカワ製靴のオリジナルブランド。スコッチ好きの琴線に触れそうなこのネーミングは、スコットランド伝統の穀物模様の革の名前に由来しているという。スコッチグレインの特徴の一つが、手縫い靴の良さを機械縫いで実現するため考案された伝統的の製法だというグッドイヤーウエルト製法。多くの工程と素材、そして熟練した技を必要とするため大量生産に向いていないが、安定性・耐久性に優れているのだとか。

100417_1607~01.jpgモルトドレッシングは、素材の革質によって向き不向きがあるという。吸油性のいい革がいいのだそうだ。しかし油を吸いやすいことは、すなわち汚れやすいということでもあり、使いたがらない靴メーカーも多いという。スコッチグレインは一部の製品に、モルトドレッシングの効果を高めるためにあえて吸油性の高い皮を使用している。フランス中南部の町、アノネイ産の高級カーフ、ベガノだ。ベガノは、この地で13世紀から引き継がれる伝統の技と最新の鞣製技術が造り出すカーフ。革本来の自然な風合いと、手入れをするほどに光沢が深まる革の味わいが高く評価され、フランスの一流靴メーカーをはじめ、世界の有名ブランドが使用している。

モルトドレッシングの手順だが、あらかじめ靴はブラシでほこりや汚れをおとしておく。靴クリームには、乳化性、液体、固体といくつか種類があるが、ここではもっとも艶の出る固形(KIWIが有名)を使う。綿の古布で、缶入りの固形靴クリームを全体に薄く塗る。クリームのふたにモルトウイスキーをたらし、布を少し湿らせる。布に少しクリームをつけ、靴全体を円を描くようにやさしくなでていく。何度も重ね塗りをし、布のすべりが悪くなったらウイスキーとクリームをつけ足す。納得のいく光沢に仕上がったら、使い古したストッキングで全体を軽く磨いて仕上げる。1足の所要時間は30分程度が目安だ。ウイスキー、クリームともに、少量ずつつけるのがきれいに仕上げるコツだという。

be22ea74.jpg当日私は革靴をはいていたのだが、その靴もモルトドレッシングで磨いてみましょうかという思いがけないお申し出を、実演中の廣川社長からいただいた。モルトドレッシング向きに造られた靴ではないのだが、靴には光沢がよみがえり思わず顔がほころぶ。帰り際、革製の牛のマスコットと、再生紙から造った靴べらをお土産にいただいた。

使用していたモルトウイスキーは、シングルモルトのダルモア12年だった。ウイスキーはモルトウイスキーでなくても同様の効果を得られるとのことなので、他の蒸留所のシングルモルトを使っても違いは出ないのだろう。ちなみに、貴重なシングルモルトを靴磨きにつかうなんてというご意見も、恐らくはあると思う。ただ愛着のある靴であるなら、好きなウイスキーをちょこっと分けてやることが惜しいとは私なら思わない。

モルトドレッシングは面白いアイディアだが、この手の“遊び心”は恐らくスコッチグレインのような高いクォリティがあってこそ活きるのだろう。クォリティに対する自信から生まれる余裕が背景になければ、同じアイディアでも色褪せて、あるいは陳腐に感じてしまうような気がする。

あらかじめ断っておくがこのネタはジョークだ。ヒトラーが安ウイスキーに不平をいい、シングルモルトへの思慕を語るパロディ動画がYOUTUBEにアップされている。

キドゥーシュ・クラブというのは非公式なユダヤ教の団体のことで、そのユニークで奔放な活動はシナゴーグ(集会や礼拝堂のこと)の品位や尊厳を貶めるものだとして、改めるようにとの勧告を正統派から受けている。なおキドゥーシュというのはユダヤ教における安息日(土曜日)の祝祷(礼拝のあとに捧げる祈り)のこと。祈りが終わるとワインやブドウジュースを飲む慣わしがある。

この動画のベースは、映画「ヒトラー ~最期の12日間~ (Tribute DER UNTERGANG)」だ。それにふざけた字幕スーパーがかぶせてある。ストーリーの設定は、キドゥーシュ・クラブの攻略に手を焼くドイツ軍、舞台は戦況の報告を受け苦渋の表情を浮かべるヒトラーと、おろおろと顔色を窺う参謀たちというもの。ヒトラーはマシンガンのように不平不満をぶちまけ、挙句にはキドゥーシュ・クラブへのねたみを口にし始める・・・。

2:09からのヒトラーのセリフ。「最近、奴らはシングルモルトを飲んでいるそうじゃないか! グレンフィディック! グレンロセス! グレンモーレンジ! バルヴェニー! ラガヴーリン!」 このあとに、ゴミウイスキー呼ばわりされるブレンデッドが名指しで登場し、思わず苦笑。

元の映画はもちろんカラーだが、この動画は古いフィルムのような加工がされている。また最初と最後に挿入されたテロップとアナウンスも違和感がなく、とても完成度が高い。  

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【プロフィール】
HN:
MUNE
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性別:
男性
自己紹介:
 1990年頃、スコッチウイスキーの魅力に開眼、次第に傾斜を深めていく。1998年、ウェブサイト「M's Bar」を開設、書き溜めていたシングルモルトのテイスティングノートを公開。2005年、ウイスキー専門誌「THE Whisky World」の発足メンバーに。現在は、試飲のできるリカーショップ「M's Tasting Room」の運営に携わり、ウイスキー関連のイベントでは講師やアドバイザーなども務める。著書に『うまいウイスキーの科学』(ソフトバンククリエイティブ)など。
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