エムズ・ウイスキー・ダイアリー ハントリー蒸留所に新マネージャー就任
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StuartRobertson.jpgインディペンデントボトラーのダンカン・テイラー社が、ハントリーという新蒸留所の創業を計画してから何年か経つ。最初にその話を聞いたのは2007年頃だったか。その後大きなニュースはなかったが、同社オフィシャルブログの20日付けのエントリーに、人事に関する最新情報が載った。スプリングバンク蒸留所を退職したスチュアート・ロバートソン氏が、新蒸留所の開発部門責任者としてとし就任することになったという。ロバートソン氏はディアジオ社でマネージメントの経験を積み、その後スプリングバンクで管理責任者を務めたベテランだ。なおスプリングバンク蒸留所のマネージャーのポストは、ギャヴィン・マクラクラン氏が引き継いでいる。

tokyo_eandco2_b.jpgダンカン・テイラー社は、ビジネスマンのアベ・ロッセンベルグ氏がチャーリー・グットマン氏とともに、1938年にアメリカ合衆国で設立したボトリングメーカーだ。1960年代の初頭から、スコットランド全域の数多くの蒸留所のニューフィリングの樽を購入し、これらの古酒は「ピアレス」や「レアレスト・オブ・ザ・レア」といったシリーズで現在リリースされている。1994年にロッセンベルグ氏が85歳で死去。その後、ダンカン・テイラー社は一時的に慈善団体の監督下に置かれるが、2000年にユアン・シャンド氏はアラン・ゴードン氏と共同でダンカン・テイラー社を買収し、現在に至っている。なお同社は樽の総保有数ではいわゆるビッグ4には及ばないものの、古酒、特に1960年代ヴィンテージ樽の保有数ではインディペンデントボトラーとしてはナンバーワンだそうである。

huntly.jpg新蒸留所ができると、ハントリーという名の蒸留所は歴史上3つ目ということになる。過去にもハントリーという名の蒸留所は、2つほどあったのだ。1つ目は1798年にアバディーンシャーで創業したが、翌年に閉鎖している。創業者名は記録に残っていない。2つ目はアバディーンシャーのブリッジ・オブ・ボギーでハントリー・ディスティラリー社によって創業された。1824年に操業を始めたが、同年に操業停止。1832年、ジョン・ロバートソン社が新しいオーナーとなり操業を再開するが、1860年に休業。1867年頃までに閉鎖されたといわれている。なお同蒸留所には別名があり、ピリーズ・ミル(Pirries Mill もしくは Peiries Mill)とも呼ばれていた。

ハントリー蒸留所の最大の特徴は、地球に優しいエコな蒸留所であることだ。スコットランドでは初となる、完全なカーボンニュートラル蒸留所なのだという。近くにあるグレンドロナック蒸留所も、二酸化炭素を回収するウォッシュバックを導入し環境に配慮した操業を行っているが、ハントリーはその考え方を更に推し進めている。カーボンニュートラルというのは、燃料にバイオマス(石油や石炭の代替エネルギーとして使われる植物のこと)を使用し、大気中の二酸化炭素を増やさないという考え方だ。植物由来の原料の場合、燃やして二酸化炭素を放出しても、その二酸化炭素中の炭素は元来植物が光合成によって大気中から取り込んだものなので、大気の二酸化炭素濃度は常に一定に保たれるわけである。このようなサイクルは炭素循環と呼ばれるが、石油や石炭に含まれる炭素は地中に埋没し自然界で循環していない炭素なので、これらを燃やすことはすなわち大気中の二酸化炭素の濃度を上げることになるのだ。

またこの蒸留所のユニークな点は、モルトウイスキーばかりでなくシングルグレーン、さらにはジンやウォッカまで生産する予定であること。ホワイトスピリッツにまで手を広げるのであれば、ダンカン・テイラーらしさがある面白い製品を期待したいものだ。シェットランド諸島のブラックウッド蒸留所が、かつて造っていたジンのように。もちろんハントリーのシングルモルトは、それ以上に楽しみである。

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 1998年、ウェブサイト『M's Bar』を開設。2005年、ウイスキー専門誌『THE Whisky World』の発足メンバーとして参加、現在同誌にてテイスティングコメントや記事を連載中。また昨今はウイスキー関連のイベントでウイスキーアドバイザーを務めるかたわら、楽天市場ラウンジのウイスキー・ショッピングソムリエ・ブログの執筆にも勤しむ。著書に、サイエンス・アイ新書『うまいウイスキーの科学』がある。
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