エムズ・ウイスキー・ダイアリー 現存の蒸留所で最古はいったいどこ?
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Littlemill_001.jpg1772年に創業され、現存する蒸留所の中では最も古い歴史をもつといわれていたいたリトルミル蒸留所が2004年の9月に火災で消失した。さて、繰上がって“最古”の座についた蒸留所ははたしてどこなのだろうか?

順当に考えるならば、最古は1775年創業のグレンタレット蒸留所。その次は、1779年創業のボウモア蒸留所となるはずだ。ところが、実はそうじゃないかも?という興味深い記事が、今月20日付けのヘラルド紙スコットランド版に載った。

グラスゴー大学のスコットランド醸造記録文書保管所(Scottish Brewing Archive)の保管人であるイアン・ラッセル氏によると、「グレンタレットは1775年に、ボウモアは1779年に創業したとそれぞれの蒸留所は主張していますが、税関局の公文書記録には1816年までのボウモア蒸留所の記録が実は残っていないのです。グレンタレット蒸留所も1818年頃までの記録はありません。すなわちこの二つの蒸留所は、最古どころかアードベッグ(1794年~)やオーバン(1794年~)、ブレア・アソール(1798年~)等の蒸留所よりもずっと後に創業したのだということになります。」ということらしい。

多くの資料でグレンタレットは1775年創業、ボウモアは1779年創業と明記されているのでにわかには信じがたい話だが、税関局の記録であれば説得力もある。まあ、どこぞの国のお役所のように記録の管理がずさんだったという可能性は、少なからずあるとは思うが(苦笑)。

もし税関局の公文書記録に間違いがなかったと仮定するならば、最古の座に躍り出るのは1785年創業のグレン・ギリー蒸留所だということもできる。「ということもできる」と文末の歯切れが悪いのは、多くの資料に創業は1798年だと書かれてあるからだ。蒸留所の公式見解も1798年ということになっている。

グレン・ギリー蒸留所の1785年創業説は、1785年に発行されたアバーディーン・ジャーナル紙に書かれてあった記事に基づいたもの。オールド・メルドラム蒸留所(グレン・ギリーの旧名)の、最初の蒸留が行なわれたことを示唆する記事がそれに掲載されていたからなのだそうな。

今回のラッセル氏の疑問提示にグレンタレットやボウモアが黙っているはずもなく、誰もが予想だにしなかった論争の火種が関係者の間ではくすぶり始めているという。“歴史が古い”ことはウイスキーのブランド戦略においては、やはり軽んじられない要素だということらしい。ちなみにボウモア蒸留所を所有しているのはサントリーだが、彼らはグレン・ギリーのオーナーでもある。どちらに転んでも収支バランスがとれるようにも思えるが、天秤にかけるまでもなく税関局の記録は何かの間違いであって欲しいと願っているはずだ。

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無題
 当時のお酒が現存しているわけでもなく、10年そこそこ寝かせたウイスキーを楽しむ身としては、そんなのどーでもいいじゃないですか、と言いたくなりますが、当事者としては違うんでしょうね。
 かつて、素晴らしい血筋の方に「実は私の先祖も凄いんです。人類が始めて火を使ったのは、ずーっと昔の私の爺さん猿なんですよ」と言ったらムッとされたことがあります。
 口は、ウイスキーを飲むのにとても役立ちますが、災いも運んできます。気をつけましょう。
 Mさん、クリスマスおめでとうございます。変な言い方かな。メリークリスマスです。
ねい 2007/12/24(Mon)17:29:53 編集
Re: 無題
メリークリスマス!
コメントをありがとうございます。

そうですね。
飲む側と造る側との温度差があり過ぎますよ。
私たちドリンカーにとっては、
一番古かろうがそうでなかろうが、
美味しければそれが一番なのですからね。
MUNE 2007/12/25(Tue)17:24:50 編集
【プロフィール】
HN:
MUNE
HP:
性別:
男性
自己紹介:
 1990年頃、スコッチウイスキーの魅力に開眼、次第に傾斜を深めていく。1998年、ウェブサイト「M's Bar」を開設、書き溜めていたシングルモルトのテイスティングノートを公開。2005年、ウイスキー専門誌「THE Whisky World」の発足メンバーに。現在は、試飲のできるリカーショップ「M's Tasting Room」の運営に携わり、ウイスキー関連のイベントでは講師やアドバイザーなども務める。著書に『うまいウイスキーの科学』(ソフトバンククリエイティブ)など。
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